本研究では、安価で新規なセルラーゼとして、現在廃棄処分されているホタテガイウロの搾汁液に含まれるセルラーゼ(ホタテガイ由来セルラーゼ)を用いて、同時糖化発酵(SSF)により製紙工場で発生する製紙汚泥からのL-乳酸生成を検討した。SSFにおいては、セルラーゼと乳酸菌の活性を同時に高く維持することが望ましいため、ホタテガイ由来セルラーゼの活性について至適pHと至適温度を調べ、SSFに適していることを明らかにした。また、ホタテガイ由来セルラーゼには、エンドグルカナーゼと少量のβグルコシダーゼが含まれており、主にセロビオースとセロトリオースを生成する。SSFで使用する乳酸菌は、セロビオースとセロトリオースを利用してL-乳酸を生成できることを調べた。これらの結果に基づき、実際にホタテガイ由来セルラーゼを用いてSSFをおこなって、製紙汚泥からL-乳酸を生成できることを確かめた。