廃棄物学会研究発表会講演論文集
第17回廃棄物学会研究発表会
セッションID: A7-11
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A7 廃棄物管理・計画(1)
自治体レベルの廃棄物行政改善のためのベンチマーキング手法導入の意義と課題に関する検討 - NPMのツールと情報の非対称性に着目して-
*阿部 直也大迫 政浩
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抄録
本稿は、自治体レベルにおける廃棄物マネジメント制度を改善するツールとして期待されているベンチマーク(BM)手法に着目し、その導入の意義と課題について、ニューパブリックマネジメントの理念に触れながら、ミクロ経済学が課題としている情報の非対称性の観点から検討を行った。BM手法は、自治体間の(廃棄物)行政パフォーマンスについて共通の指標により客観的比較を実現することを1つの目的としており、そうした情報を入手した市民や利害関係者からの働きかけもあって、各自治体が行政サービスをより一層改善するインセンティブをもたらす意義があるとされている。しかし、BM手法をシグナリング機能を発揮する制度として解釈すると、自治体側は自らの行政業績を誇張する誘惑があるため、その誘惑の存在を事前に認識していれば、情報の受信者である市民や利害関係者は自治体によるBM手法の成果公表を“真実である”と認識するとは限らない。信頼性の高い情報の提供手段としてBM手法を活かすためには、同手法を活かすための整合性のとれたデータベースの整備や監査体制などが課題となる。
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© 2006 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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