抄録
全国の企業外労働衛生機関に所属する看護職1780名を対象に, その雇用状況や活動の実態を明らかにし, 事業場におけるより質の高い産業看護サービスを提供するための課題を検討する目的でアンケート調査を行った(有効回答率50.7%). その結果, 1. 産業保健サービスの提供を担う労働衛生部門には保健師が中心に所属していたが, これら保健師は経験年数が比較的浅い人が多い, 2. 保健師は, 対象者に直接関わる業務にもっと比重を置きたいと考えている, 3. 看護職が担当する事業場において, 労働者個人への相談業務が主体であり職場巡視や安全衛生委員会など職場全体に関わる活動は少ない, 4. 看護専門職としての業務に対する経営者や他のスタッフからの評価に, 看護職は「ずれ」を感じている, 5. 社内および社外研修の機会が十分でない, という課題が明らかになった.