抄録
首都圏における公団住宅をはじめとする集合住宅地の居住人口の構造を詳しく把え,かつ既往の研究との比較検討により集合住宅居住の時代的変化の内容を明らかにすることを目的とした研究である。本年度は公団住宅を対象とした調査・分析とし,
①住民票調査によって近年の公団住宅居住者の人口構造を詳しく分析する
②公団住宅入居者の構成が,団地の立地条件によって具体的にどのような影響を受けているかについて数理的な分析を施す
の2つの内容に分けて実施した。得られた主要な結果を挙げると以下のとおりである。
①公団住宅居住者の来住時点の家族型構成を,賃貸・分譲,住居型別に把えることができた。20年前のデータと比較すると,様相は大きく変化しており,入居階層の高齢化,多様化の傾向が顕著である。
②1家族当りの居住人口は全体で11%減少している。同様に子供数は約4%減少している。
③公団住宅居住者の大半は4人家族,すなわち夫婦に子供2人の家族である。
④公団住宅の立地について,人口構造・世帯属性の指標によってグラスター分析を行ない,首都圏を6~9のゾーンに分けるセクター分類を得た。
⑤立地条件が団地入居者の人口構造・世帯属性に顕著な影響を与えていることを示した。
⑥重相関分析により,この影響の度合を定量的に把握した。立地条件による人口構造等に対する影響の度合は,賃・分の別の要因のそれを上回り,住戸型要因の1/3~1/4程度の影響力を持つことがわかった。