獣医疫学雑誌
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ザンビア国ルサカ州で発生した気腫疽を疑われた死亡例に関連する危険因子の研究
門平 睦代Kenny L. SAMUI
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1997 年 1 巻 2 号 p. 43-48

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抄録

1993年から94年にかけてザンビア国ルサカ州全域の伝統農家の多数の牛が死亡した。発生状況から気腫疽が疑われた。緊急にワクチン接種が行われ, その後は死亡例の報告は見られなかった。当時, 細菌学的診断も含めて発生原因に関する調査は何も実施されなかった。そこで過去にさかのぼり, 患畜対照研究を行い, 気腫疽が原因と疑われた死亡例があった農家群と, 気腫疽や気腫疽に類似した症例がなかった農家群の2つのグループから, 家畜飼育方法などの危険因子と考えられるデータを集めた。そして, これらの危険因子と死亡例があった農家との間に関連性があるのかについて統計学的解析をした。牛飼育総経験年数と川や貯水池などの自然水系を牛の飲料水として使っているという, 2つの危険因子が疾病の発生と関連していることが明らかになった。この結果は, 気腫疽発生に関して, どの農家がリスクが高いか, またどこから土壌サンプルを採取すべきかなど土壌汚染地域を見つける調査指標として, 有効な情報となりうる。

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