2024 年 77 巻 3 号 p. e33-e38
鹿児島県奄美群島の黒毛和種繁殖農家で,繁殖雌牛3頭が食欲不振,起立不能,出血傾向を呈し,死亡した.死亡牛及び同居牛の血清生化学的検査所見では,強い肝機能障害が示唆された.直前に給与された飼料には多数のカッコウアザミ属植物が混入しており,残余飼料,圃場植物及び死亡牛の糞便から,ピロリジジンアルカロイド類(PAs)のリコプサミンが検出された.硝酸塩中毒等は否定されたことから,本事例をカッコウアザミ属植物による中毒と診断した.当該植物が含有するPAsの肝毒性やクマリンによる血液凝固阻害が病態に関与したと考えられた.また,奄美群島や沖縄本島において採取したカッコウアザミ属植物19検体すべてからPAsが検出された.今後の対策として,カッコウアザミ属植物の中毒に関する周知や適切な草地管理等の指導を行っていく必要がある.