日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
豪州産輸入牛群から分離された牛ウイルス性下痢ウイルスの性状解析及び同一牛群の中和抗体保有状況
守野 繁吉田 英二古野 美南子福原 久江粕谷 和史亀山 健一郎
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2024 年 77 巻 8 号 p. e89-e97

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抄録

輸入検疫期間中に牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)持続感染牛(PI牛)が摘発された豪州産乳用繁殖牛群について,PI牛から分離されたBVDVの性状解析及び輸入牛群の中和抗体を調査した.分離株は1c亜型に分類され,わが国の1a亜型ワクチン株に対する免疫血清と高い交差反応性を示したことから,当該の1c亜型BVDVが国内侵入した場合,感染拡大防止に国内市販ワクチンが有効であると思われた.豪州産輸入牛はBVDV-1c亜型の不活化ワクチンを出国前に接種されており,初回採血時の中和抗体価は1c亜型に対して高い値(GM値,1:510)を示し,国内で多く分離されている1a,1b亜型及び2型株に対しても交差反応すると思われる抗体を保有していた.また,166頭中30頭にPI牛の同居に起因すると思われる抗体上昇が認められた.

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