2026 年 79 巻 6 号 p. e47-e51
近年,薬剤耐性菌の問題が深刻化しており,愛玩動物においても抗菌薬の適正かつ慎重な投与が求められている.獣医外科領域では手術部位感染(SSI)の予防を目的に抗菌薬が投与されるが,術後の継続投与に関するエビデンスは十分でない.そこで麻布大学附属動物病院において清潔創及び準清潔創に分類された軟部組織外科手術を受け,術後24時間以内に予防的抗菌薬投与を終了した犬猫291例を対象にSSI発生状況及びリスク因子を調査した.その結果,SSIは20例(6.9%)で認められ,麻酔時間(P=0.002),麻酔中の低血圧(P=0.010)がリスク因子として特定された.この結果から,清潔創及び準清潔創に分類された軟部組織外科手術において,術後24時間以内の予防的抗菌薬投与終了はSSI発生の増加に寄与しないことが示唆された.