1991 年 53 巻 1 号 p. 113-116
これまで知られていない新しい型の染色体の転座例 (1/21) がホルスタイン種牛で見い出され, それが3世代, すなわち転座保有の種雄牛からの娘牛 (6/11頭) と孫牛 (4/7頭) へとほぼ1:1の比で伝播することが認められた. 種雄牛の異母きょうだいである雄牛5頭には同型の染色体異常は認められず, この転座がその父牛に由来する可能性は否定された. C分染法による分析の結果, 3世代の転座保有牛 (種雄牛1頭, 娘牛5頭, 孫牛3頭の計9頭) の転座染色体は二動原体型を示していたことから, この転座が比較的新しく発生したものであることがうかがわれた. さらに, 今回の転座は個体の外貌などの表現型に対して何らかの影響を及ぼしているようには思われなかった.