Journal of Veterinary Medical Science
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子牛の鉛中毒の1例の脳病変
清宮 幸男伊藤 博大島 寛一
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1991 年 53 巻 1 号 p. 117-119

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抄録
盲目, 猛進, 旋回運動, 反弓強直などの顕著な神経症状を示した61日齢の黒毛和種の雌子牛を検査した. 肉眼的に, 大脳皮質領域に帯黄色小巣状の病巣が散在していた. 組織学的に, 中枢神経系, とくに大脳皮質領域の浮腫性空胞化と神経細胞の壊死が多発性, 巣状あるいは層状にみられ, 腎臓の近位尿細管上皮細胞核内に抗酸性封入体が観察された. 腎臓の鉛濃度は湿重量で9.4ppmであった. 以上の所見から, 本症例は鉛中毒と診断された. 汚染源として水道管に塗布されていた含鉛防錆塗料が疑われた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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