Journal of Veterinary Medical Science
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チュウザンウイルスの赤血球凝集性と赤血球凝集抑制反応
後藤 義之三浦 康男甲野 雄次
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1991 年 53 巻 1 号 p. 29-32

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抄録

チュウザンウイルスは牛を含む種々の動物の赤血球を凝集した. 牛赤血球を用いて検査した結果, その凝集性 (HA) は希釈液の塩類濃度に依存し, 0.6モルの時に最も強く現れた. しかし, 希釈液のpHと反応温度の影響は受けなかった. 異なった地域の2頭の牛から分離された2株のウイルスとヌカカから分離された1株のウイルスのHAを比較したが, 株間の差は認められなかった. チュウザンウイルスに感染した牛は高力価のHA抑制 (HI) 抗体を産生した. このHI抗体価は中和抗体 (NT) 価と平行して推移した. HI抗体価とNT抗体価の相関は非常に高く, これらの結果, 牛のチュウザンウイルス感染の診断や抗体調査は, 中和試験のみならず, より簡単なHI試験により実施可能な事が明らかとなった.

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