Journal of Veterinary Medical Science
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ウシ切断2分離胚の凍結・解凍後の生存性と移植時期の異なる1卵性双子牛の作出
清家 昇酒井 実金川 弘司
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1991 年 53 巻 1 号 p. 37-42

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抄録

ウシ切断2分離胚 (分離胚) を寒天包埋した場合としなかった場合, あるいは透明帯に還納した場合としなかった場合に分けて凍結した. 解凍後, 形態的に移植可能な分離胚はそれぞれ26.3%, 36.4%, 39.5%, および40.0%であり, 各グループ間に統計的な差 (P<0.05) は認められなかった. また, 子牛への発生も透明帯に還納した分離胚で25.0%, 還納しなかった分離胚で26.7%であり, 両者間に差は認められなかった. 移植時期の異なる1卵性双子牛の作出試験における新鮮胚および凍結胚の受胎率は各々69.2%および11.1%となり, 13個の胚から1組の移植時期の異なる雄の1卵性双子牛が得られた. この切断2分離胚は凍結後移植前に43日間液体窒素中に保存された. この双子牛の血液型検査によって1卵性である事が確認され, 両者共誕生時期は異なるものの発育状態に類似性が見られた. ウシ分離胚の一方を凍結保存後移植する事により移植時期の異なる1卵性双子牛を作ることが可能であった. このことは, 予め, 一方の分離胚 (新鮮胚) から子牛を得ることにより, 他の分離胚 (凍結) の性判別, 泌乳能力および後代検定成績の推定された子牛の誕生を可能にすることを示唆している.

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