Journal of Veterinary Medical Science
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牛初乳免疫グロブリンの子牛下痢症に対する治療および予防効果
納 敏一条 茂太田 千佳子渡辺 太郎Benkele Wilmot後藤 仁
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1991 年 53 巻 1 号 p. 87-91

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抄録
子牛に対する初乳給与は, 移行抗体の付与あるいは局所免疫の面からも, 各種感染症, とくにロタウイルス (RV) 下痢症などによる被害の防止に重要なことがよく知られている. 本研究では正常牛の初乳から硫安塩析により精製濃縮された免疫グロブリン (Ig, 純度90%, RV抗体1 : 6250~31250, VP2, VP4, VP6, VP7と特異的反応) を, 子牛における安全性を確認した上で, 子牛のRV感染症の治療と予防に供した. 10~40日齢の乳用雄子牛25頭と1~5日齢の黒毛和種17頭における治療試験では, このIg単独投与による治療効果はほとんど認められなかった. しかしこのIgを生後直後より, 下痢症の有無に関係なく投与したとき, 黒毛和種子牛例では投与群の85% (53/62) が下痢を示したが, そのうち15% (9/62) が死亡したのに対し, 全例下痢を示した対照群の死亡率は56% (75/134) と著しく高かった (P<0.001). またこれら両群における糞便からのRV検出率は47% (25/53) で, とくに便性状の悪い例で高率であった. このように, 子牛のRV感染に対するIg投与はある程度の予防効果が期待できると考えられた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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