Journal of Veterinary Medical Science
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実験的鼻閉塞における上気道筋の反射活動に関する研究
神沼 修局 博一Matias Job Manaet西村 亮平菅野 茂
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1991 年 53 巻 1 号 p. 93-99

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抄録

本研究は短時間の鼻閉塞が上気道の反射活動に及ぼす影響を知ることを主目的として行われた. 全身麻酔を施した犬で, 上気道開大筋の代表である鼻翼 (AN) および後輪状披裂筋 (PCA) の活動を他の呼吸性指標とともに同時記録し, 鼻閉塞時の反射活動を気管閉塞時のそれと比較した. 呼気相末期から連続する3呼吸の間鼻閉塞を行うと, 吸気努力の出現とともに, 上気道は陰圧 (-2.41~-3.04kPa) となり, ANおよびPCAの吸気性活動は顕著に増加した (AN : 257~1080%増加, PCA : 164~308%増加). 両筋の活動は気管閉塞の場合でも高まったが, PCAの活動増加は47.0~86.3%とその増加度が鼻閉塞に比べ明らかに小さい (P<0.05) のに対し, ANでは202~760%とその差は顕著ではなかった (P>0.05). また, 鼻閉塞では, 吸気時間 (T1) が延長するとともに, 吸気勾配の低下が観察された. 鼻閉塞時におけるこれらの呼吸活動の変化は, 上喉頭神経の切断によって減少したが, とくにPCAでは明瞭であった. これらと同様な成績は, 下気道から分離した上気道に対して, 外部から人工的に陰圧を負荷した場合にも認められた.

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© 社団法人 日本獣医学会
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