1991 年 53 巻 3 号 p. 439-446
ウズラ由来線維芽細胞株であるQT35からチミジンキナーゼ欠損(TK-細胞を確立し, その性状を解析した. 5-ブロモデオキシ-2-ウリジン(BUdR)を用いた多段選択法によって100μg/mlのBUdRに耐性を示すQT35細胞クローン(QTTK-)が得られた. この細胞は, HAT培養液中で生存できず, さらに親株のQT35と比較し, 3H-チミジンの取り込み量, および細胞抽出液中のTK活性が, それぞれ0.3%, および0.5%にまで低下していた. これらの結果から, この細胞クローンはTK-細胞であることが明らかとなった. QTTK-のチミジレートシンターゼ活性, 核型, 鶏痘ウイルスおよび七面鳥ヘルペスウイルスに対する感受性は, いずれも親株のQT35と同じであった. この細胞は鳥類由来TK-線維芽細胞株としては初めてのものであり, 鳥類由来ウイルスをベクターとするリコンビナントウイルス作成の上で, 極めて有用であると考えられる.