Journal of Veterinary Medical Science
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陰嚢内精巣固定手術後の潜在精巣犬射出精子の体外培養による運動の活性化および先体反応の誘起
河上 栄一内藤 晴道小笠原 満田村 美雪長谷川 純一筒井 敏彦小笠 晃
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1991 年 53 巻 3 号 p. 447-450

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抄録
6ヵ月齢の片側性潜在精巣のビーグル3頭に対して, 下降側精巣の摘出および潜在側精巣の陰嚢内固定手術を実施した. 1年後, これらの犬の精液を採取し, その射出精子の体外培養による運動の活性化(HA)および先体反応(AR)の誘起率を, 正常ビーグル5頭におけるそれらの値と比較検討した. 犬精子の培養は, canine capacitation medium 培地を用いて, 精子濃度30×106/ml, 38℃, 5%CO2条件下で9時間実施した. HAの観察には, 顕微鏡用ハイ・スピード・ビデオ装置を用いた. 精子のARの判定は, トリプル染色法で行った. その結果, 潜在精巣の陰嚢内固定手術実施犬(CDO)および正常犬(ND)における採取直後の精子の運動性には, 両者間に有意差はみられなかった. しかし, 培養後のCDO精子における運動性の低下は著しく, 培養3時間ではCDOとNDそれぞれ47±12(mean±SD)%, 80±9%であり, 両者間に有意差が認められた(P<0.01). 精子のHA誘起率は, 全期間を通じてCDOとNDの間に有意差はみられず, 培養7時間でそれぞれ58±5%,61±16%のピークを示した. CDO精子のAR誘起率は, 培養6時間以後NDより明らかに低値を示し, 培養8時間ではCDOとNDそれぞれ26±4%, 46±5%であり, 両者間に有意差が認められた(P<0.05). 以上のように, CDO精子において認められた, 培養に伴う運動性の急激な低下とAR誘起率が低いことは, 深く関連するものと推察される.
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© 社団法人 日本獣医学会
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