Journal of Veterinary Medical Science
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セレウス菌の産生するマウス致死毒の精製と性状
品川 邦汎市川 憲一松坂 尚典杉井 俊二
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1991 年 53 巻 3 号 p. 469-474

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抄録
セレウス菌「咽吐型」食中毒由来菌の培養遠心上清から, 70%硫酸アンモニウム塩析, DEAE-Sephadex A-25クロマトグラフィー, Sephadex G-75 (superfine)ゲルろ過および同樹脂による再ゲルろ過により, マスス致死毒(MLT, MW:33,000-34,000)を精製した. 本毒素は, MLT活性(8μg/mouse投与で致死)の他に, 溶血活性(ヒツジおよびウサギ赤血球を溶血)を示したが, ウサギ皮内血管透過性亢進活性およびマウス結紮腸管ループの液体貯留活性は陰性であった. 本MLTは, pH6-9および-20℃, 8週間の保存では安定であったが, 4℃, 4週間の保存では活性が失われた. さらに60℃, 5分の加熱では失活を示すが, 98℃, 5分では活性は残存した. またこの毒素は, ウサギ正常血清イムノグロブリン(IgG), トリプシン, トリパンブルー, およびエタノールによって活性の低下が見られたが, パパイン, コレステロール, およびジチオスレイトール(DTT)に対しては, 全く影響を受けなかった. MLTに対して作製したウサギ抗毒素血清IgGは, MLTおよび溶血活性を特異的に中和した. 以上の in vitroの安定性, 分子量などの点から, 本MLTはセレウス菌の産生する溶血素IIである可能性が示唆された.
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© 社団法人 日本獣医学会
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