抄録
マウス胎盤外円錐(EPC)の伸展および巨細胞化における胎盤中の液性因子の関与について, 培養系を用いて検討した. 7.5day post coitum(pc)のC57BL/6マウス妊娠子宮よりEPCを分離し, 24時間α-MEM+10%FCSにて前培養後, α-MEM+10%FCS, α-MEMのみ, またはマウス胎盤(8.5, 10.5, 並びに12.5day pc)可溶性粗分画10%添加α-MEMに培地交換した. その後6日間培養し, 位相差顕微鏡を用いてコロニーの直径および巨細胞数を経時的に測定した. その結果, 胎盤抽出分画添加群はα-MEM対照群と比較して, EPCの伸展および巨細胞化が有意に助長され, EPCの伸展率は培地交換2日後に急速に増大した. 特に10.5day pc胎盤抽出分画添加群において, EPCの伸展および巨細胞数の増加がともに最も顕著であった. 以上の結果より, 胎盤抽出分画中に栄養膜巨細胞の分化に促進的作用を示す液性因子の存在が示唆された. さらにこの促進因子は, 10.5day pc胎盤中に多量に存在するものであると考えられた.