Journal of Veterinary Medical Science
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ラット肝の前癌病変におけるTyzzer菌の増殖
二井 愛介篠原 公策後藤 直彰
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1991 年 53 巻 5 号 p. 847-854

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抄録
ジエチルニトロサミンによるイニシエートと, アセチルアミノフルオレン投与および肝部分切除を組み合わせたSolt-Farberの方法により作出した, F344雄ラット肝の前癌病変におけるTyzzer菌の増殖を免疫組織学的に観察した. Tyzzer菌による肝壊死病巣は, 胎盤型glutathione S-transferase (GST-P)陰性領域に加え, 陽性領域(altered fociおよびneoplastic nodules)においても多数観察され, GST-P陽性肝細胞内に明らかな菌の増殖像が認められた. また長期間維持した動物では, これらの前癌病変に加えて肝細胞癌が認められ, そこでも菌増殖が観察された. 一方, 血漿中GOT, GPT値をTyzzer病変の重篤度の指標として測定すると, 菌を接種しない群の比較では, 担前癌状態の動物は前癌病変を持たない動物と較べてGOT, GPTともに高い値を示したが, 菌を接種した群の比較では担前癌状態の動物の方が両者とも低い値を示した. また, 肝単位面積当りの壊死巣の数は, 担前癌状態の動物の方が前癌病変を持たない動物に較べて少なかった. これらの成績から, Tyzzer菌は前癌状態にある肝細胞において増殖可能であるが, そこでの増殖環境は正常肝細胞と較べると適していないことが示唆された.
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