Journal of Veterinary Medical Science
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ビタミンD3投与によるヒツジの甲状腺C細胞の超微形態的観察
岡田 洋之斎藤 恵理松川 清
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1991 年 53 巻 5 号 p. 921-927

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抄録

ビタミンD3 200万単位を10日間, 20日間および30日間筋肉内注射したヒッジの甲状腺C細胞を超微形態的に観察した. ビタミンD3投与後, C細胞は主に濾胞上皮細胞間で肥大増生しているのが認められた. 肥大した多くのC細胞は著しく脱顆粒し, 発達したゴルジ装置周囲に前分泌顆粒が多数認められ, 分泌サイクルの分泌・梱包期にあった. その他のC細胞では細胞質内に層板状に著しく発達した粗面小胞体と多数のリボゾームが認められ, これらの細胞は合成期のものと思われた. さらに肥大したC細胞の間に変性した細胞内小器官を容れる萎縮細胞がしばしば見られた. 今回の超微形態的観察から, ヒツジではビタミンD3の大量投与により誘発された高カルシウム血症に対してC細胞は持続的にカルシトニンを合成分泌していることが判明した.

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