1992 年 54 巻 1 号 p. 81-86
牛胎盤と宮阜のプロティンキナーゼC (PKC)とその基質, 及びエストラジオールレセプター(ER)について調べた. PKCは両組織のサイトゾル及び総顆粒画分の双方に局在し, それらの総活性は肝臓及び乳房等, 他の組織の活性値と同程度であった. 胎盤と宮阜のPKCはパルミトイルカルニチン, ゴシポール, アドリアマイシンにより阻害された. PKCの基質としては, 胎盤では125Kタンパク質, 宮阜では2種類の低分子タンパク質が検出されたのみであった. 両組織ではカルシウムはリン酸化に対して抑制的に作用した. ER濃度は胎盤と宮阜のサイトゾル及び核で同様の値が検出されたが, 核レセプター濃度は妊娠子宮のそれに比べ, はるかに低かった. 牛胎盤と宮阜では, PKCとERを介する情報伝達系が機能的に抑制されているように見える.