1992 年 54 巻 3 号 p. 509-515
10例のR.equi感染子馬の肺炎病巣をビオチン・ストレプトアビジン法によって検討した. 抗R.equi抗体による免疫染色法は本菌の検出と同定に有効であった. 本菌は抗BCG抗体にも反応した. 抗リゾチーム抗体はマクロファージに反応するが, 菌を貧食した細胞に強く反応する傾向があった. 抗α1-アンチトリプシン抗体も抗リゾチーム抗体と同様の傾向を示したが, 抗α1-アンチキモトリプシン抗体は両者に比較して弱く反応した. しかし, 電子顕微鏡による観察では細胞内の菌の形態は保たれているので, 菌表面物質が細胞内の酵素から菌体を保護している可能性があった. 抗IgM, IgG, およびIgA抗体に陽性の細胞は少なく, 肺炎病巣の周囲に散在する傾向があった. このことから免疫グロブリンによる抗菌作用はマクロファージによる食菌作用に比較して弱いと考えられた.