Journal of Veterinary Medical Science
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ネコ免疫不全ウイルス感染ネコの末梢血単核球における表面抗原発現の変化
大野 耕一亘 敏広後飯塚 僚辻本 元長谷川 篤彦
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1992 年 54 巻 3 号 p. 517-522

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抄録

ネコ免疫不全ウイルス(FIV)感染ネコの末梢血単核球(PBMC)におけるCD4, CD8, IL-2レセプターα(IL-2Rα)およびMHCクラスIIの発現について検討を行った. SPFネコに比較して, FIV感染ネコのCD4/CD8比は僅かに減少していた. 末梢血中のIL-2Rα+細胞は, FIV感染ネコにおいて有意に増加していたが, コンカナバリンAによるIL-2Rαの誘導性は低下していた. FIV感染ネコのコンカナバリンA刺激PBMCを二重染色し, フローサイトメトリー解析を行ったところ, CD4+IL-2Rα+およびCD8+IL-2Rα+両細胞群の減少が認められた. さらにFIVを正常ネコPBMCに接種したところIL-2Rαの発現抑制が認められた. またFIV感染ネコのPBMCにおいてはMHCクラスII+細胞の増加も認められた. これらの結果から, FIV感染ネコのPBMCは生体内ですでに活性化しており, この活性化状態およびFIVによるIL-2Rαの発現抑制が感染ネコにおいてみられる幼若化反応の低下に関係しているものと思われた.

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