抄録
ゲンタマイシン誘発による尿毒症犬の血清を強塩基性陰イオン交換樹脂を用いた高速液体クロマトグラフィーにより分析した. 血清のHPLC分析に際して終濃度3%のTCAを用いて除蛋白を行った結果, 良好な分離性および再現性が得られ, この分析系は, 尿毒症血清分析に適していると考えられた. また, 得られたクロマトグラムは血清尿素窒素およびクレアチニン値の増加ならびに尿毒症症状の増悪に伴い, ピーク数およびピーク面積が増加した. 腎外性影響の少ない血清クレアチニン値と高い相関を示した4ピークを犬における尿毒症ピークとして選定した. 以上の結果より, これら4ピークは犬の尿毒症物質を含んでいるものと推定された.