Journal of Veterinary Medical Science
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牛RS生ワクチンの野外応用試験
久保田 道雄福山 新一高村 恵三出水田 昭弘児玉 和夫
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1992 年 54 巻 5 号 p. 957-962

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抄録
弱毒牛RSウイルス低温順化株, rs-52株を用い, 3ロット(103.5, 104.5, 106.0 TCID50/ml)の牛RS生ワクチンを試作し, これらのワクチンを1mlずつ野外飼養牛275頭の鼻腔内または353頭の筋肉内に接種した. 接種後, ワクチン接種による臨床上の異常は認められなかった. 抗体陰性牛に接種した場合, いずれのワクチンでも良好な抗体応答が認められ, 接種1ヵ月後に鼻腔内および筋肉内接種群でそれぞれ89.7%(26/29)および92.8%(90/97)の牛に抗体産生が認められた. 抗体陽性牛に接種した場合, 接種時の中和抗体価が1~2倍を示した牛では接種後に高率に抗体価の有意上昇が認められたが, 4倍以上を示した牛ではわずかで, 接種時に保有している抗体の影響が認められた. 免疫の持続については, 抗体陰性牛にワクチンを接種した場合, 接種6ヵ月後で鼻腔内および筋肉内接種群でそれぞれ73.7%(14/19)および87.0%(20/23), 抗体陽性牛でも鼻腔内接種群の69.0%(20/29), 筋肉内接種群の93.1(27/29)が抗体を保持していた. 一部の野外試験で, 試験開始5ヵ月後に牛RSウイルスの流行があり, ワクチン非接種対照牛では呼吸器症状が認められたが, ワクチン接種牛は無症状で経過し, ワクチンの有効性が確認された.
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© 社団法人 日本獣医学会
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