Journal of Veterinary Medical Science
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イヌのIgA沈着をともなう糸球体腎症
宮内 泰中山 裕之内田 和幸上塚 浩司長谷川 篤彦後藤 直彰
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1992 年 54 巻 5 号 p. 969-975

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抄録
剖検した100例のイヌについて, 腎糸球体IgA沈着と病理変化とを調べた. 検索したイヌのほぼ半数(47%)の腎糸球体メサンギウム域にIgAの顆粒状沈着が認められた. IgA沈着例の多くはIgG, IgM, C3の沈着もともなっていた. IgAの沈着に性差ゃ品種差はなかったが, 年齢とともにその頻度と程度は増加した. IgA沈着のみられた糸球体では組織学的には, メサンギウム細胞の増加, 半月形成, 半球状沈着物, 硬化等の変化がみられた. 竜頭ではメサンギウム域および傍メサンギウム域に電子密度の高い物質の沈着があり, これは免疫電顕法でIgA陽性であった. IgA沈着の程度とメサンギウム細胞の数または全糸球体細胞に対するメサンギウム細胞の割合とを調べたところ, IgA沈着の少ない初期にはメサンギウム細胞が増加し, IgA沈着が重度になるにつれて, メサンギウム細胞以外の細胞(内皮細胞, 上皮細胞)が増加することがわかった. また, 腸炎や肝病変をもつイヌにIgAの糸球体沈着が多くみられた.
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