Journal of Veterinary Medical Science
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腹水型スナネズミ悪性黒色腫由来の培養細胞の特徴
橋本 統宮本 健一森友 忠昭斎藤 寛史渡辺 翼望月 公子
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1993 年 55 巻 2 号 p. 227-232

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抄録
可移植性スナネズミ悪性黒色腫から培養細胞系を樹立した. 腹腔内に移植された同種動物において腹水の貯留が認められ, 今回, この腹水中の腫瘍細胞を出発材料として細胞培養を試みた. 初代培養では多極性および多形性細胞の2種類が区別された. 継代6代目より, 多形性細胞に付着する細胞塊が観察された. そこで, この付着している細胞をはがし継代を行ったところ, 細胞は多極性で多数の細胞突起を有し, 活発に増殖し, 房状構造を呈した. 継代初期では光顕および電顕観察において, メラニン顆粒を多数有する細胞が証明された. Dopa反応では殆どの細胞が陽性であった. 20代から30代の継代を重ねるにつれ, メラニン顆粒の減少が認められ殆どの細胞が無色素性となった. 増殖曲線より倍加時間は32時間と計算され, 染色体数は68から82に分布した. この培養細胞を同種動物の腹腔内ヘ接種したところ, 接種後, 30日以内に腹腔内に白色腫瘍が形成された. この細胞系は, MGM-Aと名付けられ, 2年間にわたり100代以上培養維持されている.
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