Journal of Veterinary Medical Science
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泌乳期間中におけるラットの血漿浸透圧の変化
鈴木 一由広瀬 昶外尾 亮治竹村 直行本好 茂一
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1993 年 55 巻 4 号 p. 561-564

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抄録

泌乳期間中に血液量と血漿の増加が起こることが知られている. 泌乳期間中の血液量の増加が血液を構成する成分の増加を伴うものなのか, それとも主に水による希釈によるものかを調べた. ラットを用いて, 分娩日を泌乳0日とし, 分娩時に強制離乳した対照群と保育仔数を12匹にそろえた泌乳群の血漿浸透圧を泌乳3, 5, 7, 10, 13および18日目に比較した. その結果, 泌乳群の血漿浸透圧は泌乳5および10日目以降において対照群よりも有意に低かった. 電解質として浸透圧に寄与する血清中のNa+濃度も同様な成績が得られた. 泌乳群の総血漿蛋白質の濃度は泌乳3, 10および18日目に対照群よりも有意に低かった. 泌乳量は10日目まで増加し, 10日目以降では18g/12hrとなってほぼ安定した. したがってラットでは, 泌乳量が増加して安定する泌乳10日目頃からは, 血漿が希釈されて浸透圧の低下した状態が維持されるものと推察された. また, ヘマトクリット値も泌乳5日目を除いて, 泌乳群では対照群よりも有意に低かったので, ラットの泌乳期間中, 少なくとも泌乳量の多い時期においては血球成分の生成があるとしても, 血漿量はそれ以上の割合で増加していることが示唆された.

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