Journal of Veterinary Medical Science
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アクリフラビン耐性弱毒豚丹毒菌の1a型と2型株の病原学的・免疫学的性状の比較
度会 雅久沢田 拓士中込 美穂天尾 弘実吉田 孝冶高橋 勇
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1993 年 55 巻 4 号 p. 595-600

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抄録
現行豚丹毒生ワクチンの製造用株である血清型1aのアクリフラビン耐性弱毒豚丹毒菌小金井65-0.15株(Kg-1a株)とその派生株である血清型2のKg-2株の病原学的および免疫学的性状等を比較した. 生化学的性状検査では, 両菌株の糖分解能に若干の差異が認められた. また, アクリフラビンに対してはKg-2株がKg-1a株より高い耐性度を示した. マウスに対する病原性はKg-2株がKg-1a株より強く, ddY系のマウスにおいて両菌株間には関節炎(P<0.05)および全身症状(P<0.01)で有意差が認められた. また, 両菌株に対するマウスの抵抗性は, C3H/He系がddY, A/J系よりも強かった. これら菌株の3種の培養分画(全培養菌液: WC, 培養濾液: CF, 菌体: KC)の感染防御活性は, どの分画についてもKg-2株がKg-1a株より高かった. また, これらの分画の中で最も感染防御活性が高かったのはKg-2株のCFであった. WCの熱および酵素処理による影響は両菌株の間で差はみられず, 56℃または100℃の熱処理およびトリプシン処理によって両菌株とも感染防御活性が失われた. したがって, 感染防御抗原の主体は蛋白質であると思われた. 以上の成績より, 両弱毒菌株は種々の性状において差異があることが明らかになった.
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© 社団法人 日本獣医学会
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