Journal of Veterinary Medical Science
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前立腺肥大症の犬に対する酢酸クロルマジノン経口投与の治療効果
河上 栄一筒井 敏彦清水 幹子織間 博光蒔苗 暢子矢島 佳絵子小笠 晃
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1993 年 55 巻 4 号 p. 631-635

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抄録

本学動物病院に1989年から1990年の間に来院し, 前立腺肥大症と診断された4-15歳の犬25頭のうち7頭に対して, anti-androgen製剤である酢酸クロルマジノン(CMA) 2mg/kg/dayを3または4週間連日経口投与した. その投与開始前後にX線および超音波画像診断装置により前立腺の大きさを計測して, その容積を算出した. また, これらの犬のうち3頭については, 精液性状検査も実施した. 前立腺肥大症の犬全頭および5-7歳の正常犬4頭の末梢血を採取し, 血漿中LH, 4-androstenedione, 5α-dihydrotestosterone, testosteroneおよびestradiol-17βの濃度を測定した. 血尿や排便・排尿困難などの臨床症状は, CMA投与開始後10日以内に消失した. CMA投与終了後の前立腺容積の平均値(±S.E.)は, 投与前の39±4%に減少した. 治療前の前立腺肥大症の犬の血漿中testosterone濃度は, 正常犬のそれに比較して有意に低値を示した(P<0.01). CMA投与終了後にも採血を実施した6頭の各種ホルモンの血漿中濃度は, LHを除き投与前の値に比較して, いずれも有意に低下した(P<0.05). また, 投与終了後の精子数と精子活力は減少し, 精子奇形率は増加した. 以上の成績から, 前立腺肥大症の犬に対するCMAの経口投与により精巣機能は抑制されてしまうが, 前立腺容積は著しく減少し, 短期間で臨床症状が改善されることが判明した. しかし, 治療後約6ヵ月で再発する例も認められた.

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