Journal of Veterinary Medical Science
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in-vivoおよびin-vitroにおける病原性が異なる2種のロタウイルスの性状
Ijaz M. K.Sabara M. I.Alkarmi T.Frenchick P. J.Ready K. F.Longson M.Dar F. K.Babiuk L. A.
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1993 年 55 巻 6 号 p. 963-971

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抄録
病原性の強いマウスロタウイルス(MRV)と比較的弱いウシロタウイルス(BRV)の分子生物学的性状と病原性について比較した. いくつかのRNA分節の移動度が異なっており, この2種のウイルスのRNA分節4のみを置き換えたリアソータントのマウスおよびウシの腸管ループを用いた病原性の比較から, RNA分節4が病原性に深く関与していることが明らかとなった. MRVとBRVの蛋白分解酵素によるペプチドマッピングの結果, コア内部の蛋白は差がなかったが, 外被蛋白には差がみられた. この差異はMRVがBRVと比べて塩化カルシウムやEDTA処理に安定である理由を説明し, 特に84K蛋白(VP4)にみられた差異はわれわれや他のグループが報告しているVP4をコードする遺伝子が病原性を決定するという成績を裏付けている. また, MRVとBRVのVP4をカルボキシペプチターゼ消化によって比較したところ, アミノ酸の307から407番目の領域に差がみられ, この領域が病原性を規定している可能性を示唆している.
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