Journal of Veterinary Medical Science
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ラット骨格筋の凍結組織切片における速ミオシンの免疫組織化学的定量法
眞鍋 昇東 泰好古屋 良宏永野 伸郎宮本 元
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1994 年 56 巻 1 号 p. 7-13

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抄録
ELISA法の原理を応用し, ラット骨格筋凍結組織切片に含まれる速ミオシン量を免疫組織化学的に定量する方法を新たに開発した. 冷アセトン(-80℃, 5分間)にて固定した長趾伸筋およびヒラメ筋の凍結組織切片上の抗原と結合した抗速ミオシン・マウスモノクローナル抗体の量をフェノール・4-アミノアンチピリンを基質として酵素免疫化学的に定量することで切片上の速ミオシン量を算出した. 続いて同一切片の総蛋白量を色素法にて測定し, 速ミオシン量をmg/g総蛋白として表した. 本法にて測定可能な切片の最小面積は5mm2, 最適厚は10μmであった. ラットの長趾伸筋およびヒラメ筋の速ミオシン量は各々185.6±6.1および17.5±2.4mg/gであった. 本法は生化学的測定法(最小200 mg必要)よりはるかに微量の標本にて速ミオシンを定量でき, 酵素組織化学的および計量形態学的方法による筋線維型構成比および筋線維断面積の計測より手技が簡便でかつ定量性に優れている. またこれらによる結果との間には高い相関が認められた. 本法は骨格筋の生理学的特性の定量的解析の手段として有用である.
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