抄録
アフリカ馬疫ウイルス血清型4(ワクチン株)の第2分節及び第6分節RNAの全塩基配列を決定した. 第2分節RNAの総塩基数は, 3229塩基であり, 第6分節は, 1556塩基であった. また, 第2分節RNAは, 1,060個のアミノ酸残基から成るVP2をコードするひとつのオープンリーディングフレームを有し, 第6分節は505個のアミノ酸残基からなるVP5をコードしていた. それぞれ推測される分子量は, VP2で124, 178, VP5で56, 793であった. さらに, 5'及び3'端のターミナルシークエンスは, 第2分節RNAで5'GTTTAA...と...ACATAC3', 第6分節RNAでは5'GTTTAT...と...ACATAC3'であり, どちらともオルビウイルスで特徴的なターミナルシークエンスである5'GTTAAA...と...ACTTAC3'との間で相違が認められた. ブルータングウイルスの対応する分節と比較したところ, VP2遺伝子の塩基配列の相同性は53%で, アミノ酸では23%であった. VP5遺伝子の塩基配列の相同性は58%で, アミノ酸では46%であり, これらウイルス間で部分的によく保存されていた. 同様に, 血清型4のワクチン株と強毒株との比較において, VP2遺伝子の塩基配列では91%, アミノ酸配列で96%の相同性を示し, VP5遺伝子においては, 塩基配列, アミノ酸配列とも98%の相同性を示した.