Journal of Veterinary Medical Science
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ラット褐色脂肪細胞におけるCarnitine acetyltransferase活性の局在
大上 美穂牧田 登之
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1994 年 56 巻 2 号 p. 329-333

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抄録
脂肪酸のβ酸化系に関与する酵素であるCarnitine acetyltransferase (CAT)について, ラットの肩甲間褐色脂肪組織における組織化学的な局在を検索した. 針状の反応産物は, ミトコンドリアのクリステと内膜に局在していた. 脂肪滴と接したミトコンドリアでは, 接触部分のクリステが崩壊しているにもかかわらず, 残っているクリステにはCAT活性が認められた. しかし, 脂肪滴の中に内包されたミトコンドリアのクリステにはCATの局在が認められなかった. これらは前報のハムスターの褐色脂肪でみたのと同様に, 脂肪細胞におけるミトコンドリアと脂肪滴の深い関係を示唆している. また先に報告したジストロフィーマウスでも, 脂肪滴に隣接したり, 脂肪滴を含んだミトコンドリアでは, CAT活性が局在していないこととも関連があると考えられる. ラットの肝臓において, ペロキシゾームを増加させ, 血中のトリグリセリドを低下させることが知られている薬剤の一つであるベザフィブレートは, CAT活性も非常に上昇させ, とくに雄では雌に比べて効果が大であると報じられている. このベザフィブレートを0.5%餌に混ぜて1または2週間投与すると, 褐色脂肪においてもCAT活性は有意に上昇した. しかし, 肝臓の場合のように性差は1週間では認められず, 2週間ではじめて明らかになった. また, 電顕組織化学的なCAT活性の局在は対照群のものと同様であり変化をみせなかった.
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