1994 年 56 巻 2 号 p. 335-339
実験的二次多包虫症のマウスにおいてシストの発育は2相性の発育(抑制された発育期間とそれに続く転移・進行型の発育)が認められた. 虫体の投与量(5, 50または250シスト)及び投与経路(腹腔内または皮下)はシストの発育, 脾臓の肥大やアミロイドの沈着に対して顕著な影響は見られなかった. また, 多包虫の可溶性タンパク質の抽出物質をマウスに腹腔投与するとアミロイドの沈着が観察された. 以上の結果により, 多包虫の可溶性成分が多包虫症における病理発生の主な因子であることが示唆された.