Journal of Veterinary Medical Science
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1, 2, 4-Triazoleの3位置換基のラットに対する甲状腺腫誘発作用の比較
高岡 雅哉真鍋 淳矢本 敬寺西 宗広松沼 尚史増田 裕後藤 直彰
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1994 年 56 巻 2 号 p. 341-346

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抄録
3-amino-1, 2, 4-triazole(ATZ), 3-mercapto-1, 2, 4-triazole(MTZ)および3-nitro-1, 2, 4-triazole(NTZ)は, 1, 2, 4-triazole(TZ)の3位置換基が異なる化合物である. これらの化合物と母核であるTZのラットの甲状腺に対する作用を比較した. ATZ, MTZおよびNTZ投与群では, 濾胞上皮細胞の増生およびコロイドの減少を示す甲状腺腫大が観察された. 血清中thyroid-stimulating hormone (TSH)濃度の上昇と甲状腺ホルモン(triiodothyronine: T3, thyroxine: T4)濃度の減少が認められた. これらの化合物はin vitroおよびin vivoで甲状腺ペルオキシダーゼ(thyroid peroxidase: TPO)活性を阻害した. この作用は, MTZで最も強く, NTZで弱かった. TZは, in vivoおよびin vitroでともに抗甲状腺作用を示さなかった. 乳腺ペルオキシダーゼを用いたLineweaver-Burkの解析により, ATZ, MTZおよびNTZはいずれも競合拮抗型の阻害形式であった. したがって, MTZとNTZはATZと同様にラットのTPOを阻害し甲状腺腫誘発作用を発現し, TZの3位の位置は甲状腺腫を誘発するために重要であると考えられる. TZの3位の置換基と抗甲状腺作用の関係を比較すると, メルカプト基はアミノ基より強い抗甲状腺作用を持っており, ニトロ基はその作用が最も弱いと考えられ, 3位を置換したTZ誘導体の抗甲状腺作用の強さの差は, 置換基に依存していることが示唆された.
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© 社団法人 日本獣医学会
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