抄録
電気化学検出を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC-ECD)によるラット胆汁中10-ホルミル四水素葉酸(10-HCO-H4PteGlu), 四水素葉酸(H4PteGlu)および5-メチル四水素葉酸(5-CH3-H4PteGlu)の同時測定法を開発した. 胆汁サンプルを0.2%アスコルビン酸ナトリウムで希釈し, HPLCで分析した. 分析カラムにはフェニルカラム, 0.1mM EDTAを含んだ20mM酢酸緩衝液(pH5.0)とアセトニトリルの混合液(97:3, V/V)を移動相に用い, 流速0.8ml/minで印加電圧300mVで分析した結果, 各葉酸誘導体は良好に分離した. 検出限界をS/N比3で算出すると, 10-HCO-H4PteGluが0.13ng/ml, H4PteGluが0.11ng/ml, 5-CH3-H4PteGluが0.10ng/mlであった. この分析法によって得られたラット胆汁中への各誘導体の排泄速度は, 10-HCO-H4PteGluが314±181ng/hr, H4PteGluが321±179ng/hr, 5-CH3-H4PteGluが449±198ng/hrであった. 胆汁中のこれらの誘導体の濃度は検出限界の5,000倍以上であった. 従って, この分析法はラット胆汁中葉酸誘導体の分析に極めて有用なものと考えられる.