抄録
鹿児島県の黒毛和種(Bos taurus taurus) 30頭と北海道のホルスタイン種(Bos taurus taurus) 125頭におけるルーメン内の繊毛虫の構成を調査した. その結果, 併せて16属56種38型が同定されたが, そのうち, 13属44種32型は黒毛和種から同定され, 15属48種25型はホルスタイン種から見いだされた. そのうち36種19型は共通であった. 黒毛和種から, 1新種が認められたので, Entodinium yunnense n. sp. として記載した. E yunnenseは, yunnense n. f., spinonucleatum n. f., acutonucleatum n. f., spinolobum n. f. の4型に分類された. また, Entodinium bifidumで1本の尾棘だけを持つ新型が認められたので, monospinosum n. f. として記載した. 黒毛和種での平均密度は18.7×1O4/ml, 1頭あたりに出現する種の数は平均14.4, また, ホルスタイン種ではそれぞれ, 40.3×104/ml, 17.8であった. 黒毛和種の密度と種の数はホルスタイン種よりも有意に低かったにもかかわらず, 多様性指数の平均は黒毛和種で1.789, ホルスタイン種では1.718とほとんど差が認められなかった.