抄録
健常および乳房炎罹患ホルスタイン牛から分離した血清中のサルモネラRa型菌と反応するマンナン結合蛋白質の濃度を酵素抗体法により測定した. その結果, 2-7歳齢の健常雌牛10頭, 6カ月齢の健常雄牛7頭, 6カ月齢の健常雌牛7頭の血清中濃度は77.5±33.1μg/ml, 65.8±21.8μg/ml, 52.2±10.2μg/mlであった. 乳房炎罹患牛4頭の血清中濃度は健常牛よりやや低く, 回復に伴い健常牛の血清中濃度にまで上昇することが判った. 以上の成績から, 牛血清中のマンナン結合蛋白質は乳房炎罹患に伴い, その血清中濃度が低下するが, サルモネラRa型菌と反応するマンナン結合蛋白質の濃度変化は既報のコングルチニンの濃度変化ほど顕著でないことが示唆された. 従って, この血清蛋白質が急性相反応性蛋白質になり得る可能性は低いと考えられる.