1994 年 56 巻 5 号 p. 823-826
燐酸化蛋白質pp38は, マレック病リンパ腫およびリンパ芽球様細胞株において, 発現が報告されている唯一のマレック病ウイルス(MDV)蛋白質である. このpp38の機能解析は, MDVによる腫瘍化の機構を解明するうえで重要である. 機能解析では, 精製されたpp38ポリペプチドの使用により, 重要な知見を得ることが可能となる. 本研究では, pp38のcDNAにコードされているポリペプチド鎖の全長をリコンビナント蛋白質として大腸菌を用いて産生し, Ni-アフィニティクロマトグラフィーによって精製した. 産生と精製に先立ち, pp38のcDNAの全長がクローニングされ, ウイルスゲノムから予測されたオープンリーディングフレームが感染細胞内においても利用されていることを確認した. ウエスタンブロット解析において, 大腸菌で産生されたpp38が感染細胞内のpp38と同じ移動度を示した. この結果から, pp38リコンビナント蛋白質は, 感染細胞内のpp38と近い立体構造を持つことが予想された. これらの結果から, リコンビナントpp38蛋白質は機能-構造の関係を解析するために有用であることが示唆された.