抄録
マウス肝炎ウイルス(MHV-2)感染マウスの胸腺リンパ球の変化を形態的に調べた. MHV-2感染48時間後から胸腺は萎縮し, 皮質を中心に広範なリンパ球の破壊像を認めた. 免疫染色ではウイルス抗原は破壊されたリンパ球, 胸腺上皮細胞などに分布していた. 電顕では, ウイルス粒子が上記の細胞で検出され, 皮質病変部のリンパ球は核の凝縮, 断片化と細胞質の空胞化を示した. 胸腺細胞DNAの電気泳動では, 核DNAの切断による「はしご状構造」が示された. 以上の結果からMHV-2感染による胸腺細胞の破壊とアポトーシスとの関係が示唆された.