抄録
ヒト結腸癌由来株化細胞(SW480細胞)およびネコ腎由来株化細胞(CRFK細胞)での種々のレンチウイルスのlong terminal repeat (LTR)の基礎転写活性を, クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子をLTRの下流に接続したプラスミドを用いて, CATアッセイで比較した. SW480細胞においては, ビスナウイルス(visna virus), ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV), サル免疫不全ウイルス(SIVAGM)のLTRの基礎転写活性は中程度であり, ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)およびヒト免疫不全ウイルス2型(HIV-2)のLTRの活性は低かった. CRFK細胞においては, visna virus, CAEV, SIVAGMのLTRの基礎転写活性は高く, HIV-1, HIV-2およびネコ免疫不全ウイルス(FIV)のLTRの基礎転写活性は中程度であった. FIVのLTRの構造は, visna virusおよびCAEVのLTRの構造に類似していることが報告されているが, 今回の実験結果から, 機能的にはvisna virusおよびCAEVのLTRとは, かなり異なることが示唆された.