Journal of Veterinary Medical Science
Online ISSN : 1347-7439
Print ISSN : 0916-7250
ISSN-L : 0916-7250
犬における手術前後のワクチン接種の免疫学的反応
宮本 忠田浦 保穂宇根 智吉武 信中間 實徳渡辺 誠治
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 57 巻 1 号 p. 29-32

詳細
抄録
犬における手術前後のワクチン接種の免疫学的効果をリンパ球幼若化反応, 抗体価の測定により調べた. 供試犬には手術のために来院した20頭を用いた. 犬パルボウイルス(CPV)抗体価において20頭中17頭において2管以上の抗体価の上昇が認められ, 多くの犬においてワクチン接種後7日目で抗体価の上昇が認められた. また, ワクチン接種時に中等度の抗体価(128-256)をもった犬の4頭中3頭が2管以上の抗体価の上昇が認められた. 犬ジステンパーウイルスの抗体価においてはワクチン接種時に抗体価が32以下であった8頭中4頭において2管以上の上昇が認められた. コンカナバリンAとフィトヘマグルチニンを用いたリンパ球幼若化反応では, ほとんどの犬においてワクチン接種後にわずかな減少が認められたが, 有意な変化は認められなかった. ワクチン接種によると思われる副作用は認められず, また, 血清抗体価の比較的良好な上昇(特にCPV)が認められたため, 手術前後のワクチン接種は免疫抑制を誘発せず, 併発している疾患を悪化させたり, 潜伏感染を臨床的に顕在化させないと考えられた.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top