尾腺は holocrine 分泌を行うが, その分泌のメカニズムは, 細胞内 lysosome の酵素による自己分解によって引き起こされると, これまで説明されてきた. 本研究では, epidermal differentiation の marker である transglutaminase の, ウズラ尾腺における分布を組織化学的に観察し, epidermal differentiation と類似のメカニズムが, 尾腺にも存在するかどうかを検討した. その結果, transglutaminase 活性は, 尾腺では分泌小管深部, 浅部ともに, 移行細胞層および退行細胞層において陽性であった. また, この活性は残部よりも深部での陽性反応が強かった. これらのことは, ウズラ尾腺での分泌の過程では, lysosome の酵素による自己分解機構以外に, epidermal differentiation と同様のメカニズムも存在することを示唆し, それは深部の方が残部よりも著しいことを示唆した.