抄録
鶏におけるサルモネラ感染を検出するため, ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた DNA 検出法を従来の菌培養法と比較検討した. Salmonella Gallinarum あるいは S. Typhimurium 実験感染ヒナ臓器からDNAを抽出し, InvA遺伝子を標的とするプライマーを用いて特異DNAを検出した. 菌検出は, 被検材料を選択培地に培養した. 予測されたとおり, サルモネラ感染ヒナ臓器から抽出したDNAから, 284 bp のDNA断片が増幅された. PCR法の感度は菌分離法のそれよりも高く, 菌分離陽性材料のみならず, 陰性材料においても S. Gallinarum および S. Typhimurium DNAが検出された. S. Gallinarum 感染21時間後において15/20例からサルモネラDNAが検出されたのに対し, 5例のみが菌分離陽性であった. サルモネラDNAは試験期間を通して検出可能であった. 今回の実験結果より, PCR法は鶏におけるサルモネラ感染検出の有用な手段となることが示された.