抄録
Theileria sergentiピロプラズマ主要表面蛋白質(p33/32)遺伝子には複数のalleleの存在が報告されている. 今回, 日本国内に存在する代表的な2種類の型, すなわち池田型(I-type)と千歳型(C-type)の同遺伝子をそれぞれ特異的に増幅しうるプライマーを合成し, PCR法による原虫集団解析を可能とした. この方法を用い実験継代株5株と日本国内各地より分離された野外株15株を解析した結果, 13株からI-typeとC-typeの両者が検出され, 残り7株ではI-typeまたはC-typeのどちらか一方のみが検出された. この結果から, 国内の大多数(11/15)の T.sergenti感染牛においては, 2つの異なったalleleを持つ原虫集団が混在していることが明らかとなった.