抄録
悪性度の異なるスナネズミ悪性黒色腫由来培養細胞系(MGM-A, MGM-S)の形態, 接着および増殖に対する細胞外マトリクス(ECM)の影響を検討した. 蛍光抗体法によりMGM-Sの細胞の表面にはフイブロネクチンが観察された. 多極性の形態を示すMGM-Aはフィブロネクチン, ラミニン, タイプIV・コラーゲンをそれぞれコートしたディシュ器面で大きく進展した. また, それらのECM成分に対するMGM-Aの接着率はラミニンに対して最も高い値を示し, MGM-Aの増殖もラミニンにより促進効果がみられた. 一方, MGM-Sに対するECMの影響は認められなかった. 以上のことより, フイブロネクチン, ラミニンに対する親和性の差が, これら2つの細胞系の悪性度に関与しているのではないかと考えられた.