Journal of Veterinary Medical Science
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スナネズミ悪性黒色腫から樹立された2つの細胞培養系に対する細胞外マトリクスの影響
橋本 統小川 健司九郎丸 正道林 良博
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1995 年 57 巻 4 号 p. 635-640

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抄録
悪性度の異なるスナネズミ悪性黒色腫由来培養細胞系(MGM-A, MGM-S)の形態, 接着および増殖に対する細胞外マトリクス(ECM)の影響を検討した. 蛍光抗体法によりMGM-Sの細胞の表面にはフイブロネクチンが観察された. 多極性の形態を示すMGM-Aはフィブロネクチン, ラミニン, タイプIV・コラーゲンをそれぞれコートしたディシュ器面で大きく進展した. また, それらのECM成分に対するMGM-Aの接着率はラミニンに対して最も高い値を示し, MGM-Aの増殖もラミニンにより促進効果がみられた. 一方, MGM-Sに対するECMの影響は認められなかった. 以上のことより, フイブロネクチン, ラミニンに対する親和性の差が, これら2つの細胞系の悪性度に関与しているのではないかと考えられた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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