Journal of Veterinary Medical Science
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ネコ初期胚の体外培養と胚移植
神田 政典及川 弘中尾 博之筒井 敏彦
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1995 年 57 巻 4 号 p. 641-646

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抄録
ネコ初期胚の体外培養下での発育状況を調べるとともに, 得られた胚による移植の可能性を検討した. 過剰排卵処置を施した供試ネコ10頭から回収した1~4細胞期胚を20%牛胎子血清を添加したTCM-199を用いて体外培養した結果, 培養72時間目までに222/248個(89.5%)が桑実胚に発育した. また, これら桑実胚170個中110個(64.7%)が培養96~168時間目までに胚盤胞に発育した. 次に, hCGで排卵を同調させたレシピエント12頭の片側子宮角に胚を1頭あたり4~12個移植した. その結果, 桑実胚(培養3日目)を移植した4頭はすべて受胎したが, 内2頭は流産した. また, 培養4~6日目の胚盤胞を移植した5頭中3頭は受胎したが, 培養7日目で胚盤胞に発育した胚を移植した3頭は不受胎であった. 以上の成績から, ネコ初期胚は体外培養によって移植可能な桑実胚へ高率に発育することが判明した. しかし, 桑実胚から胚盤胞に至る過程で発育の遅延が認められた.
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