Journal of Veterinary Medical Science
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犬の肺血管コンプライアンス分布
小林 圀鷲巣 誠近藤 元紀松倉 克仁本好 茂一宮坂 勝之高田 正雄
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1996 年 58 巻 1 号 p. 41-46

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抄録

総肺血管コンプライアンスを肺動脈コンプライアンス(Ca)と肺静脈コンプライアンス(Cv)に分けた肺血管床の集中定数モデルを作成した. そして, 肺動脈閉塞法(AO), 肺静脈閉塞法(VO), および肺動静脈同時閉塞法(DO)を犬の左肺後葉単離潅流標本に実施して肺血管コンプライアンス分布を検討した. 肺静脈圧を5mmHgに維持し, 肺動脈圧を10から22mmHgまで4mmHgずつ変化するように標本潅流量を段階的に増加させた. 潅流量の増加にともなう肺血管内血液量の増加量(ΔV)は, 潅流回路内の血液リザーバー血液量の減少量から推定した. それぞれの潅流量でDOを実施し, 血管内血流が停止したときの定常圧(Ps)を測定した. このPsはコンプライアンスの重みつき平均圧である. 総肺血管コンプライアンスはPsとΔVとの関係直線の傾きから算出した. 肺動脈圧が14mmHg, 肺静脈圧が5mmHgの時にAO, VO, およびDOを実施し, Caの圧, Cvの圧, およびPsを測定した. これらの圧の値からCaとCvの比を計算した. その結果, 総肺血管コンプライアンスは0.113±0.012ml/kg/mmHgであった. CaとCvはそれぞれ0.026±0.013と0.087±0.007ml/kg/mmHgであった. AO, VO, およびDOを実施することによって, 犬肺血管コンプライアンスの肺動脈と肺静脈の分布を評価できることが示唆された.

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