1996 年 58 巻 2 号 p. 109-113
生殖器・呼吸器症候群(PRRS)に罹患した仔豚の肺におけるマイコプラズマ(M.hyorhinis, M.hyosynoviae, M.hyopneumoniae)の感染状況を調べた. 供試仔豚はPRRSを呈した43頭, PRRSウイルスに潜在感染していた2頭およびPRRS陰性(PRRSウイルスおよびその抗体が陰性)の対照豚10頭であった. M.hyorhinisはPRRSを呈した43頭のうち40頭から, 潜在感染豚2頭のうち1頭から, さらに対照豚と診断された10頭のうち3頭からそれぞれ分離された. 肺におけるM.hyorhinisの感染菌量はPRRS罹患豚で少なくとも105CFU/gであったのに対し, 潜在感染および対照豚ではいずれも103CFU/g以下であった. M.hyorhinisの他にはHaemophilus parasuis (22/43; 51.2%)あるいはPasteurella spp. (11/43; 25.6%)が比較的高率に分離された. 一方, 全供試豚のうち, M.hyopneumoniaeが分離されたのはわずか4頭にすぎず, M.hyosynoviaeは全く分離されなかった. さらに供試豚の肺乳剤から, PCR法によるM.hyorhinisの迅速検出を試みた. その結果, M.hyorhinisの感染菌量が105CFU/g以上の症例では確実に検出可能であった.